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登録日: 2021年5月13日

記事 (494)

2026年7月15日10
量子状態の「隔たり」から、時空が立ち上がる――多様体仮説と、時空という圧縮
シリーズ: 論文渉猟 ◆今回の論文:Koji Hashimoto et al., "Holography and Optimal Transport: Emergent Wasserstein Spacetime in Harmonic Oscillator, SYK and Krylov Complexity" (arXiv, 2026年4月19日) 概要:量子状態を確率分布として表し、その分布間の最適輸送距離(1-Wasserstein距離)を測ると、量子状態の巨大な空間から低次元の幾何が立ち上がるとする提案。調和振動子とSYKモデルで検証し、開放量子系の緩和からブラックホール的な時空を再構成する。1-Wasserstein距離が一般化Krylov complexityと一致することも示す。 時空とは何か。私たちはそれを、物が置かれる器だと考えることに慣れている。空間がまずあり、時間があり、その舞台の上で物質がふるまう。器は中身に先立って存在する。この素朴な像は強固で、日常の思考をほとんど支配している。 だが現代物理の一角では、この前提そのものが問い直されている。時空は最初か...

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2026年7月15日12
責任なき行為能力は天災をもたらす──エージェントAIと法人格
シリーズ: 知新察来 ◆今回のピックアップ記事:Yuval Noah Harari, "We must not grant AI agents legal personhood" (Financial Times, 2026年6月8日) 概要:AIエージェントに法人格を与えることは、AIを資産保有・雇用・訴訟・政治献金まで行える制度上の主体に変えてしまう。ハラリは、これが国家や民主主義を非人間的な法人に支配されるリスクを生むと警告している。 アルゼンチンのミレイ大統領は、人間の株主を必要としない「非人間法人」という新しい法的カテゴリーの創設を発表した。AIエージェントが資産を持ち、契約を結び、雇用し、訴訟を起こし、政治献金にまで関与できる会社である。数日後、歴史家ユヴァル・ノア・ハラリはFinancial Timesに反論を寄せ、AIエージェントに法人格を与えてはならないと警告した。 ハラリの警告は直感的には理解できる。AIには身体がなく、刑務所に入れることも、自由を奪うこともできない。だが、この直感をそのまま制度論として使うには、まだ粗い。会社もまた人工的な人格であり、生身の身...

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2026年7月13日20
重要さを説くだけでは、徳は育たない──AI時代の節度と制度設計
シリーズ: 知新察来 ◆今回のピックアップ記事:Ross Channing Reed, "Why sophrosyne, an ancient Greek virtue, matters more than ever in the age of AI" (The Conversation, 2026年6月5日) 概要:哲学者・哲学カウンセラーである筆者が、古代ギリシアの徳ソフロシュネーを取り上げ、その衰退が現代の諸問題の根にあると論じる。プラトン、アリストテレスにおける位置づけを整理し、カウンセリングの実例を引きながら、AIとSNSの時代にこの徳が持つ意味を主張する。 古代ギリシアの徳が、生成AIの時代に必要だという議論がある。ソフロシュネー。節度、自己認識、自己統制、分別を含む、健全な判断力を保つ心の状態を指す語である。 主張そのものに異論はない。AIの出力を自分の理解と取り違え、SNS上で怒りに任せて他者を叩き、確かめずに信じた説を確信へと固め、成果物だけを手早く差し出す。こうした振る舞いを、ひとつの徳の欠如として括る視角には力がある。...

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Seo Seungchul

Seo Seungchul

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President, Projeteam, Inc.

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