top of page

プロフィール

登録日: 2021年5月13日

記事 (580)

2026年10月10日 ∙ 13 分
文明は、何を失っても立て直せるか──AI時代の接続と統治の再構成
シリーズ: 行雲流水 ある仕事をAIへ任せる。その仕事を自力で行う人が減る。それでも、社会の成果は良くなるかもしれない。道具を使ってきた人間にとって、この変化自体は珍しくない。問題は、任せた経路が使えなくなったとき、重要な機能を別の形で続けられるかというところにある。 前の二回では、能力を失うことと、その能力を育て直す場所を失うことを分け、維持する費用と責任を考えた。ここから、もう一段だけ問いを広げたい。能力が残っていても、必要な場所へ集められず、判断を決められず、実行の負担を分けられなければ、社会は動かない。 知識の量、通常時の生産性、つながりの多さだけでは、異常時に立て直せるかは分からない。文明の回復力を考えるには、どの能力を保つかに加えて、誰がその能力を動員し、誰が接続と権限を変えられるかを問う必要がある。 今回は、原論文から発展させた仮説的な考察になる。文明の衰退を一つのモデルで説明するつもりはない。AIという具体的な入口から、効率化、接続、政治の関係をたどる。 効率化の表で、何が仕事として数えられるか 使われない設備、処理の少ない担当、重複した手順は、費用を削減する候補...

3
0
2026年10月10日 ∙ 12 分
使わない能力に、誰が費用を払うのか──AI時代の認知予備力と制度設計
シリーズ: 論文渉猟 ◆今回のレポート:Ricard Solé et al., "Large-Language Models as a Cognitive Virus" (arXiv, 2026年9月3日) 概要:LLM利用に伴う人間側の結合状態を三つに分け、社会的な利用の伝播と自律的実践の補強が、転換点、多重安定、依存状態からの回復にどう関わるかを検討する理論研究。 AIを使わずに仕事をする時間は、成果を測る表では効率の悪い時間になりやすい。完成品の質と処理速度が変わらないなら、自力で考える練習を続ける組織は、その分だけ余計な費用を払っているように見える。 その費用の意味が分かるのは、AIが停止したとき、誤った出力を続けるとき、既存の処理では扱えない問題が生じたときである。ところが、その時点から能力を育て直していては間に合わない仕事がある。必要になってから調達できない能力を、必要でない時期に維持する。この時間のずれが、制度設計の出発点になる。 ソレらの理論研究から前回引き出したのは、利用を減らしても独立した実践が自動的には戻らない条件があるという問いだった。今回は、それを制度の...

2
0
2026年10月9日 ∙ 13 分
考える力の回復には、育つ場所も要る──LLM依存を社会モデルで読む
シリーズ: 論文渉猟 ◆今回のレポート:Ricard Solé et al., "Large-Language Models as a Cognitive Virus" (arXiv, 2026年9月3日) 概要:LLM利用に伴う人間側の結合状態を三つに分け、社会的な利用の伝播と自律的実践の補強が、転換点、多重安定、依存状態からの回復にどう関わるかを検討する理論研究。 生成AIによって答案の質が上がったとき、何が良くなったのか。人が以前より理解できるようになったのか。それとも、人と道具を組み合わせた作業がうまくいくようになったのか。日々の仕事では、両者を分ける必要はないように見える。納期に間に合い、顧客が満足するなら、それでよい。 違いが現れるのは、支援がなくなったとき、出力が間違っているとき、これまで扱わなかった問題に出会ったときである。その場で必要になるのは、完成品の出来を評価したときには見えなかった能力だ。何を疑い、どこから確かめ、どうやってやり直すか。この能力も、AIとともに育つ場合がある。反対に、良い成果の陰で使われなくなる場合もある。...

2
0
Seo Seungchul

Seo Seungchul

管理者

President, Projeteam, Inc.

その他
bottom of page