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本ブログの内容は、あくまで代表 徐勝徹の個人的な見解であり、Projeteam, Inc.の公式見解や業務上の立場を示すものではありません。
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自然関係指数が問い直す「豊かさの足場」──外部不経済の可視化
シリーズ: 知新察来 ◆今回のピックアップ記事:Yadvinder Malhi "The measure of flourishing" (Aeon, 2026年6月29日) 経済発展を語る言葉は、基本的に「増えるもの」の言葉だった。所得が増える。消費が増える。都市が広がる。インフラが整う。教育や医療へのアクセスが広がる。GDPはその増加を測る指標として、きわめて強力に機能してきた。市場で生み出された付加価値を集計し、国家間の比較を可能にし、政策の成否を判断する共通語になった。 この物語には十分な正当性がある。経済発展は多くの人を貧困から引き上げ、寿命を延ばし、選択肢を広げた。 だがGDPには、設計上の盲点がある。経済活動の「成果」は足し上げるが、その成果を生む過程で何が取り崩されているかを、十分に計上しない。森林を伐採して道路を造ればGDPは増える。災害後の復旧工事でも増える。壊すことと修繕することの区別がつかない。社会が人間に過剰な負荷をかけ、その負荷を処理する産業が伸びても、GDPは上がる。 ここに一つの問いが生まれる。GDPが「成果」とし

Seo Seungchul
7月19日読了時間: 15分


探索は枠の中を回り、発見は枠を書き換える──AI科学者論の制度設計と、その応用可能性
シリーズ: 論文渉猟 ◆今回の論文:Fiona Y. Wang et al., "Self-Revising Discovery Systems for Science: A Categorical Framework for Agentic Artificial Intelligence" (arXiv, 2026年5月31日) 概要:AIによる科学的発見を、答えの生成ではなく表現レジームの更新として定義し直し、カテゴリ理論を用いて監査可能な形式を与える枠組みを提案。タンパク質力学と繊維ネットワーク力学の二つの事例で実装。 AIは科学的発見をしたのか? この問いに答えようとすると、まず「発見」という言葉の意味が揺れる。新しい分子を設計した、新しい材料候補を見つけた、新しい仮説を生成した。これらは発見だろうか。それとも、既存の探索空間の中で、まだ試されていなかった組み合わせを見つけただけだろうか。 MITのFiona Y. WangとMarkus J. Buehlerが2026年5月に発表したプレプリントは、この問いに構造的な回答を与えようとして

Seo Seungchul
7月19日読了時間: 12分


能力主義は人間価値の原理ではない──格差を身分に変換する経路
シリーズ: 知新察来 ◆今回のピックアップ記事:Christine Abigail L Tan, "No one is self-made" (Aeon, 2026年6月22日) 能力主義への批判には、どこか扱いの難しさがある。能力主義を批判すると、すぐに「では能力を見なくてよいのか」「医師も裁判官も技術者も、能力ではなく別の基準で選ぶのか」という反論が出てくる。もっともな反論だ。外科医、航空機整備士、インフラ技術者、裁判官、研究者、経営者。これらの職務について、熟練や判断力を無視することはできない。能力評価を放棄すれば、公平になるどころか、他者への被害が増える。 だとすれば、問題は能力主義が正しいか間違っているかという二択ではない。問題は、能力主義が本来の管轄範囲を超えて、人間の価値、政治的発言権、社会的支配力、格差の道徳的正当化にまで拡張されることにある。能力主義は、特定の職務や責任を配分するための限定的原理としては必要だ。しかし、それが社会全体の道徳原理になるとき、社会統合を壊す力を持つ。 荘子が突いた急所 Christine Abigai

Seo Seungchul
7月18日読了時間: 11分


予測市場と真実のロンダリング──社会制度の接続設計問題
シリーズ: 知新察来 ◆今回のピックアップ記事:Yasaman Rohanifar et al., "Prediction markets allow the powerful to buy truth" (Institute of Art and Ideas, 2026年6月10日) 概要:予測市場の価格が「群衆の知恵」として流通する過程を「予測ロンダリング」と名づけ、4段階の構造を分析。改革案として、摩擦を消さず可視化する設計思想を提案する。 予測市場の数字が、メディアの見出しに出てくる。AI検索の回答に組み込まれる。金融端末に表示される。いつの間にか、Polymarketの確率表示は、世論調査や専門家の見解と同じ棚に並ぶ情報源になった。 だが「75%」と表示されたとき、その数字を作ったのは誰か。どのような資金が、どのような意図で動いた結果なのか。そこを見ないまま数字だけを受け取ると、何が起きるのか。トロント大学とイリノイ大学の研究者3名が発表した記事は、この過程を「予測ロンダリング」と名づけ、正面から切り込んでいる。 本稿はこの記事の論旨を

Seo Seungchul
7月17日読了時間: 13分
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