top of page
Convisage
本ブログの内容は、あくまで代表 徐勝徹の個人的な見解であり、Projeteam, Inc.の公式見解や業務上の立場を示すものではありません。
検索

知新察来


DeepSeekだけじゃない──中国のオープンウェイトAI戦略が問いかけるもの
シリーズ: 知新察来 ◆今回のピックアップ記事: Caroline Meinhardt et al., "Beyond DeepSeek: China’s Diverse Open-Weight AI Ecosystem and Its Policy Implications" (Stanford University Human-Centered Artificial Intelligence, 2025年12月) 概要:中国における多様なオープンウェイトAIエコシステムの実態と、それが国際的なAIガバナンスに与える影響を分析した政策レポート。DeepSeekをはじめとする複数の中国企業のモデルリリース状況、政府の支援体制、オープン化の動機、そして西側諸国が取るべき政策的対応について包括的に論じている。 中国のAI企業DeepSeekの躍進が注目を集めていますが、実はその背後には、もっと大きな構造が動いています。中国では政府の支援を受けた複数の企業が、競争力の高いオープンウェイトAIモデルを次々とリリースし、独自のエコシステムを形成しつつあり

Seo Seungchul
6 日前読了時間: 12分


定義するのは難しいけど、なくてはならない「宗教」という言葉
シリーズ: 知新察来 ◆今回のピックアップ記事: Kwame Anthony Appiah, " The selfish myth driving modern economics " (Institute of Art and Ideas, 2025年12月10日) 概要:古代から現代まで「宗教」という概念がどのように変遷してきたか、そしてなぜこの言葉が定義不可能でありながら社会的に不可欠なのかを、哲学的・歴史的な視点から論じたエッセイ。 私たちは宗教を人類史に深く根ざした営みだと思いがちですが、実は「宗教」という概念そのものが近代に生まれたものだとしたら、どう感じるでしょうか。 古代ローマ人は神々や儀式を持っていましたが、それを私たちが理解するような「宗教」とは捉えていませんでした。17世紀の西洋で、キリスト教世界が分裂し、探検や征服を通じて未知の文化と出会う中で、ようやく「世界宗教」という枠組みが生まれたのです。それ以来、学者たちは宗教を定義しようと試み続けてきましたが、どの定義も広すぎたり狭すぎたりして失敗してきました。それなのに、この

Seo Seungchul
1月24日読了時間: 17分


人間の本性と新自由主義の神話――進化心理学が明かす協力と競争の真実
シリーズ: 知新察来 ◆今回のピックアップ記事: Paul Deutchman, " The selfish myth driving modern economics " (Institute of Art and Ideas, 2025年12月10日) 概要:人間は進化の過程で競争だけでなく協力によっても生き延びてきた。しかし新自由主義は人間の利己的側面のみを強調し、社会を純粋に合理的で利己的な主体という虚構の上に再設計してきた。この誤解が不平等、民主主義の衰退、共通善の喪失を招いている。進化心理学の知見から、協力本能を取り戻し、人間本性の両側面を活かす政治経済を再構築する必要性を論じる。 現代社会を支配する新自由主義経済の前提には、人間は本質的に利己的で合理的な存在だという仮定があります。しかし、進化心理学の研究は、私たちの先祖が生き延びてきたのは競争だけでなく、協力によってでもあったことを明らかにしています。ペンシルベニア大学のポール・ドイチュマン准教授は、人間の本性についての誤解が、どのように不平等の拡大や民主主義の衰退、共通善の感覚

Seo Seungchul
1月21日読了時間: 15分


自由主義の約束が届かなかった場所で――アフリカが模索する新しい政治思想
シリーズ: 知新察来 ◆今回のピックアップ記事: Gabriel Asuquo, "The empty ideology" (Aeon, 2025年12月9日) 概要:20世紀半ばにアフリカ諸国が独立した際、民主主義・人権・自由市場といった自由主義の理念が約束されたが、実際には選挙不正、経済的格差、外部依存が続いている。この失敗は制度の未熟さだけでなく、西洋の個人主義的価値観とアフリカの共同体的伝統との根本的な不一致に起因する。著者は、自由主義を批判的に検証しながら、ウブントゥ哲学やアフリカ社会主義、合意型民主主義といったアフリカ独自の政治思想の可能性を探る。 独立から数十年が経過したアフリカ諸国では、いまも民主主義と経済発展の約束が十分に果たされていない。選挙は行われるものの結果は密室で決まり、市場の自由化は格差を拡大させ、主権は国際機関の条件付き融資によって制約される。問題は指導者の質や制度の弱さだけではない。もっと深い層での不一致がある――ヨーロッパの啓蒙主義から生まれた自由主義という政治哲学が、アフリカの共同体的伝統や関係性を重視する倫

Seo Seungchul
1月21日読了時間: 21分


AIはクラウドのみにて生くるにあらず──電力、鉱物、水が決める知能の地政学
シリーズ: 知新察来 ◆今回のピックアップ記事: Thijs van de Graaf, "Inside the AI-Led Resource Race" (Finance & Development, 2025年12月) 概要:本記事は、AIの発展を支える物質的基盤——電力、半導体、鉱物資源、水、土地——に焦点を当て、それらの確保をめぐる地政学的競争の全体像を描いている。データセンターは世界の電力消費の1.5%を占め、2030年までに倍増すると予測される。テック大手は再生可能エネルギーの最大購入者となり、電力網の拡張や新技術開発に巨額を投じている。しかし、半導体製造は台湾に集中し、鉱物精錬は中国が8〜9割を掌握しており、供給網の脆弱性が露わになっている。水の消費も深刻で、新設データセンターの3分の2は水不足地域に建設されている。こうした物理的制約が、AI革命の行方と恩恵の分配を決定するという警告が本記事の核心である。 チャット画面に現れる文字の流れは軽やかで、まるで思考が空を舞うようです。でも、その背後には膨大なサーバーがあり、冷却装置が

Seo Seungchul
1月19日読了時間: 20分


51番目の星になれない島――プエルトリコが突きつける「アメリカとは何か」という問い
シリーズ: 知新察来 ◆今回のピックアップ記事: Amit Joshi, "Puerto Rico and Why It Is Part of the USA but Not a State" (USA Heaven, 2025年12月17日) 概要:プエルトリコの法的地位、歴史的経緯、市民権と政治的権利の不均衡、州昇格をめぐる議論、経済問題、文化的アイデンティティ、将来の選択肢について包括的に解説した記事 アメリカ合衆国には、320万人もの「市民」が暮らしているのに、大統領選挙で投票できない場所があります。カリブ海に浮かぶプエルトリコです。1898年にスペインから割譲されて以来、この島は125年以上にわたって奇妙な宙吊り状態に置かれてきました。住民は米国市民権を持ち、米軍に従軍する義務もあるのに、連邦議会での投票権はなく、福祉制度でも本土の州より不利な扱いを受けています。 近年、住民投票では繰り返し州昇格への支持が示されてきました。それでも連邦議会は動きません。「民主主義の国」を自認するアメリカが、なぜ自国領土の民意を実現できないのか。そこに

Seo Seungchul
1月19日読了時間: 15分


精子の起源を600万年さかのぼる――生命史が揺さぶる「性」の常識
シリーズ: 知新察来 ◆今回のピックアップ記事: Christa Lesté-Lasserre, "Sperm's evolutionary origins go back before multicellular animals" (New Scientist, 2025年11月24日) 概要: オーストラリアの研究チームが、精子の進化的起源が多細胞動物の誕生以前にさかのぼることを発見。単細胞藻類の遺伝子解析により、精子形成に関わる遺伝子が約6億年前から存在していたことが判明した。 単細胞生物の中に、すでに精子の原型が眠っていた。オーストラリアの研究チームが古代藻類の遺伝子解析から明らかにしたこの発見は、生殖という営みの始まりを大きく書き換えるものです。私たちがイメージする精子は、動物の世界に固有の発明品だと思われてきました。でも実際には、多細胞生物が誕生するはるか以前、地球がまだ単細胞の海だった時代に、性の基本装置はすでに準備されていたらしい。 今回は富良野とPhronaがこの静かな革命に迫ります。生殖とは何か。性とは何か。そして、単細胞か

Seo Seungchul
1月15日読了時間: 13分


若者が街に出るとき――Z世代デモが政治を揺さぶる理由
シリーズ: 知新察来 ◆今回のピックアップ記事: Clara Fong, " How Global Gen Z Protests Have Shocked and Transformed Governments" (Council on Foreign Relations, 2025年11月20日) 概要: 2019年以降、世界各地で若者主導の抗議運動が活発化し、政権交代や制度変革を引き起こしてきた経緯を分析。SNSの役割、非暴力戦術の有効性、そして運動が長期的な政治参加につながる可能性を検討している。 スマホ世代は政治に無関心だと言われてきた。けれど、2010年代半ば以降、世界のあちこちで10代20代が街頭に繰り出し、政権を退陣に追い込んだり、制度を変えたりする出来事が続いている。香港の雨傘運動、アメリカのBlack Lives Matter、韓国のキャンドル集会、チリの地下鉄料金値上げ抗議、スリランカの経済危機デモ、そしてイランの女性たちによる抵抗――。 これらの運動には共通点がある。SNSで拡散され、リーダーがはっきりしないまま広がり、既

Seo Seungchul
1月15日読了時間: 11分


ワンピースの海賊旗が世界を変える?――ミームが「指導者なき革命」を可能にした理由
シリーズ: 知新察来 ◆今回のピックアップ記事: Nobel Rimal, " Meme movements " (Nepali Times, 2025年11月22日) 概要:2025年9月のネパールにおけるGenZ運動を起点に、世界各地で同時多発的に起きている若者主導の抗議活動を分析。これらの運動に共通するのは、特定のリーダーの不在と、『ワンピース』の麦わら海賊旗に代表されるインターネット・ミームの存在である。筆者は、ミームがかつてのパンフレットや政党組織に代わる「組織化の道具」として機能していると論じ、デジタルネイティブ世代が共有するグローバルな視覚文化の政治的意味を考察している。 2024年から2025年にかけて、ネパール、インドネシア、フィリピン、メキシコ、マダガスカルと、世界各地で若者主導の抗議運動が相次ぎました。不思議なことに、これらの国々は歴史も宗教も政治体制もまったく異なるのに、デモ参加者たちは同じシンボルを掲げ、同じ旗を振り、同じキャラクターをプラカードに描いていたのです。その代表格が、人気アニメ『ワンピース』の麦わら海賊団の

Seo Seungchul
1月15日読了時間: 14分


アフリカ経済の新しい地図を描く――「多様性」を再評価する時が来た
シリーズ: 知新察来 ◆今回のピックアップ記事: McKinsey Global Institute, "Reimagining economic growth in Africa: Turning diversity into opportunity" (McKinsey & Company, 2023年6月5日) 概要:アフリカの54カ国を、気候・地理・産業構造の類似性に基づいて8つの経済圏(アーキタイプ)に分類し、それぞれの強みを活かした成長戦略を提案。多様性を障害ではなく機会として捉え直し、2040年までに年間最大5,000億ドルの追加GDPを生み出す可能性を示唆。 富良野とPhronaが、マッキンゼー・グローバル・インスティテュートのレポートを手に取りました。そこには、これまで「課題」として語られてきたアフリカの多様性を、むしろ「機会」として捉え直す新しい視点が示されていました。54カ国、13億人、多様な気候帯、2,000以上の言語――この複雑さは本当に経済成長の障害なのでしょうか。 レポートが提示するのは、従来の「アフリカ全体」とい

Seo Seungchul
1月11日読了時間: 14分


「29兆ドルの未来」を賭けた技術覇権競争──AI・量子・バイオが変える国家安全保障の形
シリーズ: 知新察来 ◆今回のピックアップ記事: Justin G. Muzinich et al., "U.S. Economic Security: Winning the Race for Tomorrow's Technologies" (Council on Foreign Relations, 2025年11月14日) 概要:AI、量子技術、バイオテクノロジーという3つの基盤技術をめぐる国際競争において、米国がいかにして優位性を維持すべきかを分析した政策提言報告書。サプライチェーンの脆弱性、投資不足、輸出管理の課題を詳細に検討し、経済安全保障センターの設立や重要鉱物の国家備蓄拡大など、具体的な施策を提案している。 2040年までにAI、量子技術、バイオテクノロジーが生み出す経済価値は、年間29兆ドルに達すると試算されています。これは日本のGDPの約5倍にあたる途方もない数字です。そしていま、この「未来の富」をめぐって、国家間の熾烈な競争が繰り広げられています。 2025年10月、米国の外交問題評議会(CFR)が発表したタスクフォース

Seo Seungchul
1月8日読了時間: 18分


「アメリカ・ファースト」の国家安全保障戦略は、世界秩序を書き換えるのか──ベネズエラ作戦が示した「言葉から行動へ」
シリーズ: 知新察来 ◆今回のピックアップ記事: Emily Harding, " The National Security Strategy: The Good, the Not So Great, and the Alarm Bells " (Center for Strategic and International Studies, 2025年12月5日) 概要:2025年12月に発表されたトランプ政権の国家安全保障戦略(NSS)を分析したコメンタリー。「アメリカ・ファースト」外交政策の具体化として、欧州への厳しい姿勢、中国との競争、民主主義推進政策の終焉などを検討し、長期的な同盟関係や世界秩序への影響について警鐘を鳴らしている。 2025年12月、トランプ政権が発表した国家安全保障戦略(National Security Strategy)は、単なる政策文書ではありませんでした。そこには、「アメリカは世界の秩序を支えるアトラスではない」という明確な宣言が刻まれています。民主主義の推進よりも繁栄を、同盟国への配慮よりも自国の利益を──

Seo Seungchul
1月4日読了時間: 14分


カラカス爆撃とマドゥロ拘束──「モンロー主義2.0」の衝撃と中国の沈黙が意味するもの
シリーズ: 知新察来 ◆今回のピックアップ記事: Alfredo Toro Hardy, "China, Trump, and Regime Change in Venezuela" (Global Policy Journal, 2025年11月5日) Christian Schulz et al., "Venezuela instability: market implications" (Allianz Global Investors, 2025年12月8日) Yang Xiaotong, "Will China come to Venezuela's rescue?" (Al Jazeera, 2025年12月26日) Igor Patrick, "Trump confirms US captured Maduro, bombed Caracas, hours after China meeting" (South China Morning Post, 2026年1月3日) 2026年1月3日未明、ベネズエラの首都カラカスの空

Seo Seungchul
1月3日読了時間: 14分


「石油のために大統領を拘束する」──21世紀の資源帝国主義とは何か
シリーズ: 知新察来 ◆今回のピックアップ記事: Dharna Noor et al. "Trump’s claims to Venezuelan oil are part of broader ‘resource imperialism’, experts say" (The Guardian, 2025年12月24日) William Christou "Why has US attacked Caracas and captured Venezuela’s president?" (The Guardian, 2026年1月3日) 2026年1月3日、世界は衝撃的なニュースで目を覚ましました。アメリカがベネズエラの首都カラカスを空爆し、現職大統領ニコラス・マドゥロを拘束、国外に連行したというのです。麻薬密売対策を名目としながら、その背後には世界最大の石油埋蔵量を誇る国への支配欲が見え隠れします。 トランプ政権は就任以来、ベネズエラへの圧力を強め、石油タンカーを拿捕し、「押収した石油は戦略備蓄に使うかもしれない」と公言してきました。専門

Seo Seungchul
1月3日読了時間: 12分


「グローバル・サウス」という言葉が覆い隠す問題 ──AI倫理が向き合うべき言葉の罠
シリーズ: 知新察来 ◆今回のピックアップ記事: Evani Radiya-Dixit et al. "Moving Beyond the Term 'Global South' in AI Ethics and Policy" (Stanford University Human-Centered Artificial Intelligence, 2025年11月19日) 概要: AI倫理・政策分野における「グローバル・サウス」という用語の限界を検証し、20名の研究者・実務家へのインタビューを通じて、この用語が持つ問題点と、より具体的な地域・権力構造に基づいたアプローチの必要性を論じた研究報告。 AI技術をめぐる国際的な議論の場で、いま「グローバル・サウスの声を聞くべきだ」という言葉がよく聞かれるようになりました。一見すると、これまで軽視されてきた地域や人々に光を当てようとする、前向きな姿勢のように感じられます。しかし、この「グローバル・サウス」という言葉そのものが、実は新たな偏見や単純化を生み出してしまっているのではないか──そんな問いを、

Seo Seungchul
2025年12月30日読了時間: 11分


不安定な時代に固まれなかった思想家――バウマンが見た「液状化する近代」
シリーズ: 知新察来 ◆今回のピックアップ記事: Artur Banaszewski "Zygmunt Bauman’s Century" (Jacobin, 2025年11月19日) 概要: ポーランド出身の社会学者ジグムント・バウマンの生誕100年を記念した記事。彼が提唱した「液状化する近代(liquid modernity)」の概念と、その背景にある波乱に満ちた人生経験、そして現代社会への警鐘について論じている。 SNSを開けば溢れる情報、数ヶ月で変わる仕事の環境、確信を持てない将来設計。私たちの暮らしには、どこか落ち着かない感覚が染み込んでいます。社会学者ジグムント・バウマンは、こうした時代を「液状化する近代」と名付けました。それは、かつて人々が信じた安定や確実さが溶けていく時代――でもそれは、単なる不安の話ではありません。 バウマンの人生そのものが、思想の正統性に抗い続ける軌跡でした。ナチスの侵攻、共産主義体制からの追放、冷戦の両側での孤独。幾度も世界が崩れる経験をしながら、彼は「人々こそが歴史を動かす」という信念を手放さなかった。生

Seo Seungchul
2025年12月30日読了時間: 14分


極度の貧困撲滅の足跡が止まる日――成長なき国々の未来
シリーズ: 知新察来 ◆今回のピックアップ記事: Max Roser "The end of progress against extreme poverty?" (Our World in Data, 2025年11月17日) 概要: 過去数十年間の極度の貧困削減の進展が、今後停滞する可能性について、世界銀行の予測データをもとに分析した記事。経済成長が停滞している国々に極貧層が集中している現状を指摘し、このままでは2030年以降、極貧人口が再び増加に転じる可能性があることを警告している。 過去30年間、世界は極度の貧困との闘いで目覚ましい成果を上げてきました。1990年には23億人だった極貧層が、現在は8億人余りまで減少。1日あたり約11万5000人が極度の貧困から抜け出した計算になります。しかし、この歴史的な進展が終わりを迎えようとしています。なぜか。それは、今日の極貧層の多くが、長期にわたって経済成長が停滞している国々に暮らしているからです。 富良野とPhronaが、この構造的な転換点について語り合います。かつて貧困削減を牽引したアジア諸

Seo Seungchul
2025年12月26日読了時間: 14分


AGIは現代の陰謀論なのか──シリコンバレーが夢見る「神」の正体
シリーズ: 知新察来 ◆今回のピックアップ記事: Will Douglas Heaven "How AGI became the most consequential conspiracy theory of our time" (MIT Technology Review, 2025年10月30日) 概要: AGI(汎用人工知能)という概念が、どのように周縁から主流へと移行し、陰謀論的な性質を帯びながらテック業界全体を支配するようになったかを検証する長文記事。Ben Goertzelによる命名から、OpenAIやDeepMindといった企業の台頭、そしてEliezer Yudkowskyのような終末論者の影響まで、AGIをめぐる言説の歴史と構造を批判的に分析している。 OpenAIのような企業は何千億ドルもの資金を投じて「AGI(汎用人工知能)」の実現を目指しているが、その定義すら曖昧なままだ。シリコンバレーのエリートたちは、AGIが人類を救うか滅ぼすかのどちらかだと語る。 しかし、この物語は単なる技術開発ではなく、陰謀論に似た構造を持ってい

Seo Seungchul
2025年12月26日読了時間: 18分


真理を手放すことが、民主主義を救う?――リチャード・ローティの連帯の哲学
シリーズ: 知新察来 ◆今回のピックアップ記事: George Scialabba "Why giving up Truth could save democracy" (Institute of Art and Ideas, 2025年11月14日) 概要: 20世紀後半の代表的プラグマティスト哲学者リチャード・ローティ(1931-2007)の政治哲学を論じるエッセイ。哲学が真理を基礎とする役割を終え、価値や意味が「発見」ではなく「創造」されるものであることを示したローティの思想と、真理ではなく連帯に基づく民主主義のビジョンを解説している。 哲学は長い間、道徳的な真理を明らかにし、人間の生を理性や神の秩序に結びつけることを約束してきました。しかし20世紀後半を代表するプラグマティスト哲学者リチャード・ローティは、その約束はもう終わったと考えました。哲学や慎重な推論では、特定の社会秩序や道徳的理想を基礎づけることはできない。では、民主主義を支えるものは何なのか。 ローティが提示したのは、真理ではなく「連帯」に基づく政治のビジョンでした。人間には

Seo Seungchul
2025年12月25日読了時間: 16分


2026年、世界はどこで火を噴くのか――専門家が見通す紛争リスクの地図
シリーズ: 知新察来 ◆今回のピックアップ記事: Paul B. Stares "Conflicts to Watch in 2026" (Council on Foreign Relations, 2025年12月) 概要: CFRの紛争予防センターが18年間継続している年次調査。約620名のアメリカ外交政策専門家が30の紛争シナリオを「発生可能性」と「米国への影響度」で評価し、3段階の優先度に分類。2026年版では初めて、紛争予防と解決のための具体的な介入機会も特定している。 トランプ政権の2期目が始まり、世界の紛争地図は劇的に塗り替わろうとしています。外交問題評議会が毎年発表する紛争予測レポートは、単なる警告ではなく、アメリカの外交政策専門家約620名が「どこで何が起きうるか」を評価し、優先順位をつけたリスクマップです。 今年の調査で浮かび上がったのは、第二次世界大戦以来最多となった武力紛争の数と、大国間戦争のリスクが年々高まっている現実。そして何より、紛争予防のための政府機能が解体されつつあるという皮肉でした。 富良野とPhronaは、

Seo Seungchul
2025年12月20日読了時間: 20分
bottom of page