top of page
Convisage
本ブログの内容は、あくまで代表 徐勝徹の個人的な見解であり、Projeteam, Inc.の公式見解や業務上の立場を示すものではありません。
検索
All Posts


西洋的普遍主義の後の国際秩序──複数世界性と合意の脱植民地化
シリーズ: 知新察来 ◆今回のピックアップ記事:Selçuk Aydın, "The Geopolitics of Knowledge from Universalism to Pluriversality: The Crisis of Western Models and the Decolonial Turn" (Al Jazeera Centre for Studies, 2026年5月12日) 概要:西洋近代が普遍として提示してきた自由民主主義・市場経済・人権・国際法が、その正統性を失いつつあるという診断から出発し、複数の知や制度が併存する「pluriversality」への移行を論じる。結論では、新しい世界合意を探すのではなく、「合意」という概念そのものを脱植民地化すべきだと主張している。 西洋近代が提示してきた普遍、自由民主主義や市場経済や人権や国際法は、いま静かに正統性を失いつつある。少なくとも、Al Jazeera Centre for Studiesに寄稿したSelçuk Aydınはそう見ている。彼の論考は、15世紀のヨーロッ

Seo Seungchul
7月24日読了時間: 12分


危機を予測するのではなく、崩れやすさを診断するという発想の転換──「地政学的危機観測所」という構想
シリーズ: 知新察来 ◆今回のピックアップ記事:Didier Sornette, "Toward a Geopolitical Crisis Observatory: Diagnosing Systemic Risk in News Flows Using Complex Systems Science" (Al Jazeera Centre for Studies, 2026年6月11日) 概要:複雑系科学とAI、OSINTを組み合わせれば、報道機関は出来事に反応するだけの存在から、危機の前兆を診断する地政学的危機観測所へ進化できるという提案。危機を単発の事件ではなく、内側に蓄積するストレスと外からのショックが絡み合って生じる体制転換として捉え直すことが軸になっている。 戦争が起きる確率は72%だ、と誰かが言ったとする。この数字は具体的に見えて、実際には何も語っていない。なぜその数字なのか、どの情報が効いているのか、その数字が報じられることで現実がどう動くのか。それらはすべて数字の外側にある。 2026年、ホルムズ海峡が緊迫したとき、軍事的な緊

Seo Seungchul
7月23日読了時間: 14分


生成AIを導入しても変われていない日本企業──PwC 6カ国調査が明らかにする課題の構造
シリーズ: 論文渉猟 ◆今回のレポート:三善心平、他, "生成AIに関する実態調査2026 春 6カ国比較" (PwC, 2026年6月10日) 概要: 日本を含む6カ国の大企業管理職(売上高500億円以上・課長職以上・生成AI導入関与者)を対象とした生成AI活用実態調査。日本企業の導入率87%に対し、期待を大きく上回る効果創出は9%で6カ国最低、成果の従業員・顧客への還元も40%にとどまることを明らかにし、AI Readiness・Evaluation・Activationの3サイクルによる変革を提言。 AIは科学的発見をしたのか? この問いに答えようとすると、まず「発見」という言葉の意味が揺れる。新しい分子を設計した、新しい材料候補を見つけた、新しい仮説を生成した。これらは発見だろうか。それとも、既存の探索空間の中で、まだ試されていなかった組み合わせを見つけただけだろうか。 MITのFiona Y. WangとMarkus J. Buehlerが2026年5月に発表したプレプリントは、この問いに構造的な回答を与えようとしている。 PwC調

Seo Seungchul
7月22日読了時間: 15分


声は、意味になる前から働いている──オウムの喃語と学習の余白
シリーズ: 知新察来 ◆今回のピックアップ記事:Virginia Morell, "Wild parrot chicks babble like human infants" (Science, 2026年5月31日) 概要:野生のミドリコシジロインコの雛が、巣の中で一羽だけで発声練習のような行動をとることを報告した研究。人間の乳児の喃語と機能的に似ている可能性が指摘されている。 野生のオウムの雛が、誰にも聞かせるつもりのない声を、巣の中で一人つぶやいているという。これは、単に動物の微笑ましくてかわいい行動、くらいの話と思うかもしれないが、実は「言語とは何の準備によって成立するのか」という、興味深い問いに繋がっている。 断っておくと、オウムが人間のような言語を持つ、という話ではない。文法も、抽象概念も、物語も、オウムの鳴き声とは同一視できない。そこを混同すると、話はすぐに擬人化に流れる。 だが逆に、人間の言語を意味と文法だけの記号体系として見るのも、たぶん足りない。赤ん坊は、最初から意味のある言葉を話すわけではない。声を出し、聞き返し、真似て、少

Seo Seungchul
7月21日読了時間: 7分
bottom of page